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B12F ● トランクと絶望 |
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永遠のペーパーウェア、DUNGEON bicoid のサイトへようこそ。 このページは、Xcode + Cocoaプログラミングの初心者でありながら、C言語さえもサワリしかわかっていない初心者が、当ソフトウェアを開発していく過程を記すに留まらず、その開発行程において躓いた部分や理解に時間のかかった点などを列挙し、他方、その疑問を放置し、かつ Apple の著した大量のオンラインドキュメント(英語)から本気で逃走する様をまざまざと見せつける事により、同じようにプログラミングに興味を持つ若者を徐々にではあるけれど減らしていく事ができるのではないか、夢はきっといつかあなたとともに微笑むのではないか、そんな思いで綴られる敗戦記録です。 以上、前口上。 今更のご挨拶こんにちは。洞窟責任者の岡久です。かの有名なMacintosh用ソフトウェア紹介サイト様に取り上げていただいたおかげで、DUNGEON bicoidは一日にして1500近いダウンロード件数を記録いたしました。一見手のかかったように見えるこの重苦しいサイトから発信される誇大広告と、「Mac OS X用RPG(J)」という単語の響きが発する魔術のおかげではありますが、ここに感謝と懺悔の言葉を連続で述べさせていただきます。ありがとうございますいません。 さて、何名かの方々から、「難しすぎる」「なにこの突き放し感」「洋ゲーかよ」「長澤まさみさんは素敵です」とのご指摘を頂きました。最後の件についてはゲームとは一切関係ないにせよ私も同意するところなのですが、その前の三つのご指摘に関しましては、洞窟責任者として、簡単に事情を説明しておいた方が良いかもしれません。 B1F再考具体的に申し上げますと、「長澤まさみさんは素敵なのに、B1Fのある扉が開かず先へ進めないのですが」という質問をいくつか(言葉は違っても内容の類似した質問を数件)お受けしました。このソフトウェアはあくまで評価版でありますから、扉やイベント等の進行に関しては、フラグ立てが想定どおりに機能するかを試しているにすぎません。従ってイベントの構成も非常にシンプルなものです。B1Fにおいて発生するイベントは四つ、 しかありません。たったこれだけです。このうち最初の「ショップ」は必要がなければ立ち寄る必要はなく、最後の「ホテル」に関してはもう少し物語が進行するまでは利用できませんので、現段階では気にとめて頂く必要もありません。従って実質的には、ある人物との会話と、ある猫との会話しかイベントはないのです。この二つのイベントの組み合わせだけを考えて頂ければ扉は簡単に開くはずです。 それぞれの刃この文章を読まずにプレイされた方は、説明不足だと、あるいはシナリオとして破綻していると感じられるかもしれない。私もそう思います。もしうまい具合に流れに沿って物語を進行したとしても、「なぜそれによって扉が開いたのか」という説明は一切ないのですから。 しかし現実に置き換えてよく考えてみてください。我々の住むこの20世紀から21世紀という時代には、右を向いても左を向いても絶えず血の匂いがありました。抵抗と無言、重圧と鈍化、犠牲と消失、あらゆる物事に説明不可能な暴力の影が宿っていました。私達は誰かを傷つけないためと口にしながら自分を傷つけ、自分が傷つく事を恐れて他人に刃を向けてきました。そんな時代に生きる私達が把握しておくべき事は、暴力の時代は今もなお続いており、今後も続いていくのだ、という歴然たる事実です。誰にもその流れを止めることはできない。誰にも説明のできない物語はいつだって起こり得るのです。現実の暗闇においても、洞窟の暗闇においても。 枯れてしまった声(時代)評価版なのでフラグの機能を試しているだけ、と上に書きました。しかしながら、正式にバージョン1.0となった際にも、おそらくDUNGEON bicoidにおけるこの80年代初頭のロックンロールを彷彿とさせる突き放し感は、持続されているものと思われます。あるいはそれを尾藤イズムと呼ぶ事も可能です。 私は時折、静かな雨の降る午前2時か3時頃、ひどい夢にうなされてはっと目を覚ます事があります。どんな夢を見ていたのかはまるで思い出せないのですが、多くの場合、目を開けた時には頬を熱いものが伝い、声は枯れています。電気の消えた部屋で、私は布団にくるまったまま為す術もなくじっとしているのです。もしかしたら、この名も無い洋ゲー的なやっつけ仕事感こそが、私が人々に伝えられる事のすべてかもしれない。もう私には、ほんの一握りの長澤まさみさん的な温もりさえ残ってはいないのかもしれない、と。 しかしそれと同時にこうも思うのです。「……確かにひどい時代だった。あらゆる路上に絶望の影が伸びていた。何度も無意味な戦争があった。でも少なくとも俺は生き残ったじゃないか」と。 私達は確かに希望を見失う事がある。挨拶という漢字が思い出せなくて錯乱してしまう事がある。なにもかもが嫌になって、一日中浪漫飛行の替え歌を考えながら土曜日を潰してしまう事がある。カールスモーキー石井さん以外のメンバーを思いだそうとすると頭が痛む事もある。……でも、私達は生き残っている。生きて呼吸をしている。水を呑み、花を愛し、浪漫飛行を歌う事ができる。オリジナルの振り付けで歌う事ができる。あまり関連もなく尾藤イサオさんの物真似をしながら。だから、……そう、だから、前へ進まなければいけない。トランク一つだけで。もはやフレーズまで拝借したままに。 方向性という名の希望冗談はさておき(第四段落の「この文章を……」以降は冗談でした)、現在配布させて頂いております評価版は、洞窟内を歩き回る事と、戦闘の感触を掴む事に主眼を置いたものです。ダメージを与える・HPを回復する以外のほとんどの特殊能力はまだ実装されていませんし(特にステータスの変動に絡む行動は白紙状態です)、データをセーブしてロードすると宝箱が復活していたり、と、とにかく骨組みだけの状態である事をご理解ください。 それでは、なぜこのタイミングで不完全なソフトウェアが皆様の手に渡る事をよしとしたのか。それは、おそらくこのゲームが私個人と非常に関わりの深い作品になるであろう事が予感されるからです。この文脈はさらなる説明を必要とするでしょう。 「作者なんだから関わりが深くて当然だろう」とおっしゃるかもしれませんが、私の言いたいのはそうした一般論ではありません。もっと「個別的な」話です。作者のキャラクタを知る事によって、より明瞭に世界観が見えてくる物語になるかもしれない、という事。もっと言えば、ここまでの私の文章を読むことによって、皆様の内面で静かにゲームは進行しているのです。さらに確信をこめてこう表現することもできます。まず中途半端な作品を配布する事によってのみ、このゲームは完成する可能性を得るのだ、と。 "Stay hungry, Stay foolish." よく晴れた日曜の朝、私の父親が電子レンジで牛乳を温める時によく口にする言葉です。お腹が空いたらもうどうにかなっちゃうよ、みたいな意味でしょう。今、私は評価版をダウンロードして下さった皆様に、この言葉を送りたい。 "Stay hungry, Stay foolish." ありがとう。 ここまでの冒険を記録しますか? |
冒険の書B1F ファンタジー決別宣言 B2F 世界のあり方 B3F 目に見えるもの B4F もっと目に見えるもの B5F 踏み込んではいけない B6F 衝突 B7F アルスラーン戦記的 B8F 世界観と敵と(上) B9F 世界観と敵と(下) B10F B11F 次回、冒険の予定B12F アマリリスの憂鬱 これまでのリリースSoftware Movie エディタ、その他 奴らが動き始める前に |
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